阪急ドラマの特徴

■ 特徴その1…ヒロインはタカラジェンヌだった

このドラマの特徴の一つとして、70年代のドラマでは、ヒロインに宝塚歌劇団員を使っていたことが挙げられます。
74年の「たすきと包丁」「秋燃えの女」では、甲にしきが、 75年の「乾杯!レモンちゃん」では宝純子が、 「この指とまれ」では、松風都巳(さとみ)」が、 「星たちのうた」では、街ゆう、恵花枝・鮎原さなえの第11期(S50年1月〜9月)バンビーズに入っていた3人が、 「愛のファインダー」ではその後、雪組公演の『ベルばら』でロザリーを演じた、衣通(そとおり)月子が、 「それぞれの出発」では大坂士郎の娘役として『世れんか』…というように、 宝塚歌劇団員が主役あるいは準主役を演じていたようです。

1976年以後になると、主役に宝塚歌劇団員を使うことがなくなり、 主役(ヒロイン)の妹に宝塚歌劇団員を登場させるというパターンになります。 たとえば、「いらっしゃいませ!」では姉妹の三女に「千紗まゆ香」、 「ゆるしません!」でも姉妹の三女に「朝吹奈央」 といった具合にです。
81年以後のドラマでは、タカラジェンヌを使うこともなくなってしまいました。

■ 特徴その2…3人がキーワード?

この阪急ドラマのシリーズでは、ヒロインが3人姉妹だったり、 3人(トリオ)で仲好しグループ作ったりと、やたら3人物が多かった。
私は見ていないのですが、古いものから「花すぐき」「たすきと包丁」では3人姉妹が登場し、 「星たちのうた」ではフォークシンガー3人の女性が活躍します。
最近CSで放送された「いらっしゃいませ…」では、これまでのパターンと違って、 長女ではなく次女がドラマの主役(ヒロイン)の設定になりますが、これも3姉妹。
次の作品である「ゆるしません!」でも、主役の友里千賀子は3姉妹の次女です。 ちなみに、「いらっしゃいませ!」「ゆるしません!」ともに、三女は宝塚歌劇団員を 使っていました。(いらっしゃいませ…には千紗まゆ香、ゆるしません…には朝吹奈央)
おだいじに…になると、やはりこちらも3姉妹。さらにさらに、続いての 「事件ですよ!」でもヒロインの岡江久美子は3姉妹の次女という役なのです。 いらっしゃいませ!から、事件ですよ!までの4作品、2年間は3姉妹物が続いていたということになります。
それからしばらくは、3姉妹もの、3人グループ物は見かけませんが、

■ 特徴その2…関西お笑いタレントが出ていた

阪急ドラマは関西地方を舞台にしている場合と、関西地方以外を舞台にしている場合、 特にどこそこが舞台であると設定していない場合の3パターンありましたが、 関西地方以外を舞台にしている場合のドラマを除けば、多くのドラマで関西のお笑い芸人が 一人か二人、ドラマにレギュラー出演していました。
たとえば、 形態模写の田渕岩夫、落語家の桂朝丸(今は「桂ざこば」)、 全国的に売れる前の「明石家さんま」、レツゴー三匹の「正児」「長作」が出ていたり、 ほかにもゲスト出演で吉本・松竹芸能系のタレントがたくさん出ていて挙げればキリがないほど。 特に田渕岩夫は80年前後に放送されたドラマには、ヒロインの職場の同僚役、 御用聞きの酒屋の役など、いろんなわき役で登場していました。
あと、忘れてはならない人物が「須永克彦」。この俳優さんはお笑いタレントってわけではないけれど、 この人も、田渕岩夫とともに阪急ドラマの常連さんなのです。たいていの場合、関西弁でしゃべりまくってくれます…が、 唯一、関西弁がいっさい出てこないドラマが「それいけズッコケ三人組」で、 この中で登場している須永克彦は標準語でしゃべっていました。このドラマだけはどうしてなのか、 関西お笑い系タレントである正司歌江、夢路いとしなど、ふだんなら関西弁をしゃべる役柄の人たちも 標準語のせりふで通していました。

■ 特徴その3…主役は関西弁を使わない

関西で制作するドラマだと、関西弁のセリフが出てくるものですが、この阪急ドラマの場合、 主役とその家族、周囲の人間に関しては、まず、関西弁を使いません。 みなさん、関西に住んでいらっしゃるというのに、流暢な標準語を使っていらっしゃいます。(笑)
で、その中で、先に挙げた田渕岩夫をはじめとした、関西芸人系の出演者の方々だけが 関西弁をしゃべる役柄として登場するというわけです。
ただし、その中でも例外があり、「くたばれかあちゃん」だけは、 このシリーズの中でも特異で、主役のみならず出演者のほとんどが関西弁を 使いまくる、ばりばりの関西物でした。しかし、このパターンのドラマは後にも先にも この、くたばれかあちゃんだけでした。

■ 特徴その4…撮影場所は阪急沿線

撮影場所は阪急沿線というのはスポンサーが阪急電鉄だったから仕方がない…。 ロケのほとんどは阪急電鉄沿線にある施設、あるいは阪急電鉄資本の遊園地、 ホテル、レストラン、スーパーなどが使われ、ドラマ中に流れる電車の走行音、 踏切の警報器の音、駅の案内放送は当然、阪急電車の音でした。

■ 特徴その5…関西におけるテレビタレントの登龍門だった

阪急ドラマの中には、わき役で登場している無名の俳優が大勢出ています。 実は、この阪急ドラマは朝日放送の部長刑事シリーズや、 京都で撮影する時代劇とともに、関西におけるテレビドラマ出演の3大登龍門であり、 このドラマをステップにして多方面で活躍する当時の子役タレントも何人かいます。

[阪急ドラマ・インデックスへ戻る〜]

[トップへ戻る〜]